平成27年9月8日(火)
朝コン観戦記録。
平成27年9月6日のメモから。
第70回東京都合唱コンクール
高等学校部門Aグループ
1 共立女子第二中学校高等学校
課:カラオケ屋さんで指揮を振っているかのよう。歌わされているような合唱団。課題曲への取り組みが甘い。
自:他パートを模倣して歌うときは、自分がそのパートを歌っているかのようなイメージを持つとよいかもしれない。リズム感は悪くなかったように思う。言葉もよく聞き取れる。指揮者センセイ、ガンバリマセウ。
2 東京女子学院中学高等学校合唱部
自1:フレーズ感がある歌い方が出来るといいなと感じた。「ここで」と2度歌うことの意味を音楽の中で考えて歌って欲しい。
自2:前曲より歌い出しはずっと良い。ソプラノは良く伸びるブレスで良いと思う。「いっしょに」でもこういう風に歌えたら良かった。
この合唱団も指揮者の曲分析が甘い気がする。制限時間内でこの2曲を演奏するために速く歌う必要があるのはわかるが、もう少し聞く立場になってテンポを設定すべきだと感じた。
3 日本工業大学駒場中学・高等学校合唱団
課:善し悪しは別として惹かれる演奏。ソプラノの発声は日本民謡のようだが良く伸びる。
4 江戸川女子中学・高等学校合唱部
課:ひな壇を使わないで演奏していた。fの響きはまあ良い。mp,mfはイマイチ良く鳴らない。デュナーミクで減点されそう。平板な感じにきこえる。
→個人的には物理的な音量の大小で表現を考えたくはない。強弱記号は聴者への距離感だ。でもこの演奏はJ-PopのノーマライズされたCDのように遠近感が欠如していたのが気になった。
5 国立音楽大学附属高等学校
課:パート内、他パートとの閒で発生するうねりがザラザラする。日本人にありがちな「ドイツ的な」音楽だ。ピアノ付きの曲である。もっとピアノと協和して欲しい。
自1:詰まったような発声を改善できればもっとよくなるのに。
自2:曲の余韻を楽しまないのはどうかと思うよ神林さん!歌は工業製品じゃないんだから。演奏している人間にとっては、曲間は次の曲に行く前の無駄な時間なのかもしれない。でも音楽のコンクールはF1のレースではない。曲間はピットでロスする時間ではない。Laudate Dominumは今回のコンクールのなかでも完成度の高い良演奏になれたと思う。残念だ。
音楽は対話である。奏者と聴者、演奏する場と奏者、互いに演奏しあう者同士、そして自分自身への対話だ。コミュニケーションを楽しまないのなら音楽は雑音にしかならない。
6 杉並学院高等学校合唱部
課:標準的。
自:a母音が開きすぎていることがある。参考音源として書斎のCD棚に置くのには十分な演奏。全国大会で栄光を勝ち取りたいのであれば自分たちでないと表現できないLIVE感を出す必要があると思う。
7 共立女子高等学校音楽部
課:丁寧で好感の持てる演奏。ブレスの手前1小節と、ブレス後の2拍にも責任を持って音を奏でられると尚良い。
自:舞台上の小さな世界だけでなく、このホール全体を浸かって音楽を楽しもう。ちょっと指揮者への依存度が高すぎるかも。そうさせているのは指揮者だろうけど。
8 大妻中学高等学校コーラス部
課:いかにも歌うことが目的な演奏。スポーティ!それでもメゾが他パートを聴こうとしているのは良い。
自1:独走するソプラノ。野獣の如き。全体的に発声が浅くなりがち。でも息の流れるべきところはできている。悪くない。
自2:ソプラノは他パートと音楽をつくろう。それに尽きる。そうじゃないとそのウネウネ動かす左手は意味ないよ!
9 早稲田実業学校 中等部・高等部
課:大学合唱のように浅めの声だが、課題曲の求める様式感を表現している。様式感という点においてはここまでの演奏でいちばんだ。男の子の頭の悪そうなドイツ語はご愛敬だが、高校生の若々しさと曲そのものを楽しめるよい演奏だ。コンクールでは、課題曲こそ楽しむべき。
自:つまらない演奏、だけど押さえるところは押さえている演奏。指揮者のテクニックで細かい演出をしているため、割といい演奏に聞こえる。だがまだまだ机上の音楽。響きのある声で歌えるようになれば数年後は全国にいけるかも。
10 実践学園高等学校合唱部
課:消化不良。男声が4人ならG1にすれば良かったのに。彼女/彼らが取り組むべきは声帯を一楽器として扱う器楽的な音楽ではないだろうと感じる。
自:人気のある木下作品に共通している、歌いながら非常に共感できる調性感を楽しめるようになれるといいなと感じた。
11 桐朋女子高等学校音楽部合唱班
課:躰が硬くなっているのか、低い音を歌おうとするとブレてしまう。和音の正確さを求められるところは美しいが全体的にはガサツな発声。
自:アルトの息遣いが良くない。松下作品特有の西洋的に符号化された日本民謡の良さを損ねている。上声部はパート内の声が揃っていないというか、音程の乱れが大きく、そこが気になる。
12 豊昭学園 合唱部
バランスは良い。女声も良く聞こえる。
13 東京都立新宿高等学校音楽部
課:冒頭1拍目から合うとよかった。
自:同上。この曲は聴者を曲の世界に引き込む魅力的な箇所が序盤にいくつかある。曲の冒頭やユニゾンのところなどは、聴いているものを一瞬にして音楽へ誘う力がある。それらがうまくいかなかったのが非常に残念。
素人がテキトーなことをいうが、西村作品は作品全体を通じて表現される文脈に依存した音楽表現がなされているように思う。そのフレーズのみだけで充分に美しいというわけではなく、作品全体を通して味わう音楽である。
14 國學院大學久我山中学高等学校女声合唱部
課:冒頭のフレーズが終り、練習番号がかわりそうなところ(楽譜を全く見ていないので分かりかねる)からは、各声部が整っていて非常に良かった。歌い出しはキリトモの方が上手かった。しかし鳴っている音の美しさはダントツだと思う。パート内での澱み目立っていなければなおよかった。音楽のつくり方は非常に私の好みであった。
自:音が美しい。そして明瞭な日本語。ホールの空気を一変させていた。非常に良い演奏だった。また聴きたい。
15 青山学院高等部聖歌隊
課:いつもブレない青学。他の二層に歌っているのは彼女/彼らのよいところ。小さな部屋を鳴らす歌い方をするのはもったいないと思う。
自:なぜこの曲を選んだのだろうか。10人で演奏する意義を見いだせない。
第70回東京都合唱コンクール
高等学校部門Bグループ
1 東京都立府中西高等学校合唱部
課:魅力はないが問題なし。必要十分。
自:このメンバーでBachを歌う理由はなんだろうか。子音が揃わないタイクツな演奏。そしてBachと間宮を同じように歌っているのも共感できなかった。
BWV227から抜粋して演奏するならポリフォニックな曲も選ぶべきだと思う。
2 自由学園グリークラブ
課:Boseが多い。ノスタルジックな発声。昭和。のぼるんもびっくりの胸式発声。
自:選曲は合っていると思う。躰が固まった人ばかりで支えがない。
服装が佇まいは清々しいものがあった。今度は是非リラックスして歌っている姿を観たい。
3 大妻中野高等学校合唱部
課:美しい発声。音楽づくりの丁寧さには脱帽ものである。
自:無理をさせずに響きで歌う発声。この大人数で精緻な音楽を奏でている。
石山先生の大妻中野を聴くのは初めてだった。決して叫んだりせず響きで音楽を造っているゆく技術は本当に素晴らしい。しかし曾ての栄東は他の合唱団には絶対に持ち得ないような個性があった。この合唱団でなければダメだと感じさせる魅力があった。大人数のためかはわからないけど、無個性な音楽になってしまっていたのは残念だった。
4 豊島岡女子学園高等学校コーラス部
課:声の良さは感じられる。
自:とても美しい。でも音の密度が低く、雑な印象。
声の質感はエモーショナルでよいと思ったが、音楽の完成度では大妻が上だと感じた。