【所感】harmonia ensemble 3rd Christmas Concert

平成27年12月23日(水)
先週の土曜日にharmonia ensembleの演奏会へ行った。
20151223_01
harmonia ensemble 3rd Christmas Concert
平成27年12月19日(土)
渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
開演19:15
harmonia ensembleとは
harmonia ensembleは2009年に結成された室内合唱団だ。 「高水準の合唱演奏を追求する混声室内合唱団」と宣言する通り、非常に質の高い演奏をする合唱団である。
ハルモニア・アンサンブルとわたし
 harmonia ensembleは Combinir di Coristaと同時期に東京都合唱コンクールに突如として現れた。当時Cantus Animaeや鈴優会http://www.rinyu-kai.org、菊華アンサンブル等の中規模合唱団が一枠の代表を争っていた東京都合唱コンクール一般部門Aグループに登場した。harmonia ensemble はJ.S.BachのBWV 227を演奏した。非常に秀逸な演奏であった。東京にはまだまだ素晴らしい合唱団があることをharmonia ensembleは示した。
今年の演奏会
 われわれ一般市民は多くの媒体を通じて彼/彼女らの演奏を聴くことができる。harmonia ensembleは CDを出していたり、テレビ出演をしていたりするからだ。しかし彼/彼女たちは年に何度も一般向けの演奏会を開いている。
 自主企画の演奏会なのかは存じない。だがわたしは幸運にも、今年だけで3回も彼/彼女らの演奏を聴くことができた。6月と8月、そして今回の演奏会だ。
 会場では今回初演する楽譜と、前回の演奏会で演奏した芭蕉の曲を収録したCD販売されていた。
  前回の演奏会はなかなか素晴らしい演奏であったので、ぜひ聴きたいと思いCDを会場で購入した。ライブレコーディングなのかと思ったらスタジオ収録のようだ。Amazon等でも購入できる。
所感
 今回のクリスマスコンサートでは前半にフランスの宗教音楽を、後半に初演の5人の編曲者によるクリスマスソング集の初演演奏という企画であった。
 クリスマスにかこつけて演奏会を開催するというのは合唱団にありがちなことであるが、彼/彼女たちはただ単にコンサートを行うのではない。コンサートで演奏するクリスマスソングは出版されるのである。
前半は微妙な演奏、いやよくない。
 わたしはharmonia ensembleをとても素晴らしい合唱団だと考えている。彼/彼女らの演奏は、コンサートの最初から最後まで感動の嵐を呼び起こすようなものではない。セブンやイオン等の流通大手で売っている高品質なものを手ごろな価格で…といっては失礼かもしれないが、最高ではなくとも「模範演奏」 的な音楽を聴くことはできる合唱団であると信じている。彼らは無理のない発声で歌い上げるため、後半になるとだんだん声が荒くなる、といったことはあまりない。また、緊張のため初めのステージでは声が固い、といったこともほとんどない。演奏会の一曲目をブレない水準で歌え、最後まで同じよう歌い続ける合唱団なのである。
 しかし、今回の一曲目からハーモニーの悪さが目立った。テノールは頓珍漢な音程だし、ソプラノは内部分裂気味だ。バスも荒さが目立つ。Moutonはとても好きな作曲家で、彼の曲を楽しみにしていたので残念だった。プーランクのモテットは彼らの十八番のはずなのだが、この曲もよくなかった。 Quem vidistisは好きな曲なのかいつものharmoniaらしさが出ていたが、全体的に協調性のない音楽という印象を受けた。
 わたしの耳が正常でなかったのかもしれない。また2階席左寄りで聴いていたためにバランスの悪い演奏に聞こえたのかもしれない。このホールの2階席は音響がよろしくないので、もしかすると音の跳ね返りの関係でそう聞こえただけなのかもしれない。だが、harmoniaの演奏としては残念だったというのが正直な感想である。
後半、時より見せるharmoniaらしさ
 今回のメインステージであるクリスマスソング。5人の作曲家による編曲は聴き応えのある曲が多かった。ちまたの合唱団のレパートリーに加えて効果を発揮しそうなのは森田花央里氏の2曲くらいで、他の曲は気軽に歌えるたぐいものではないようだった。それがコンセプトなのだから当然だと思うが。
 演奏が良いと思ったのは4曲目。わたしは2階席で前半を聴いたが、あまりの音響の悪さに辟易した。仕方がないので後半は一階席前方の席で聴いた。4曲目、上田真樹編曲“The First Nwell”はこの演奏会の中で一番よい演奏だった。バスパートの進行が音楽に深みを与える。各声部はクリスマスを迎える家庭のぬくもりを感じるような、温か
 この曲をまた聴きたいと思ったのは挾間美帆氏の2曲。所謂「ジャズ」 風のくだらない音楽ではなく、技巧的でシステマチックな音楽だった。“The Christmas Song”は音の美しさが際立っており、正確に歌えるのであれば非常に魅力的だ。harmoniaの演奏は至極残念だったが、音楽がスリリングに進んで行く魅力の詰まった楽曲だ。正当派な合唱作品であった。

楽譜 harmonia ensemble a cappella collection クリスマ…

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全体を通じて
 今回のコンサートは、練習が間に合っていないのでは?と首をかしげたくなるような随所に見られた。プーランクは曲数を増やすために入れたのではないかと思えるくらい歌えていない。クリスマスソングではテノールの発声がよくない。英語だからなのか母音が短いと音が伸びず、音符が長い時だけ鳴り響く。
ソプラノは個々の声を前面に出すことでポップス感をだしたかったのかはよくわかならいが、バラバラしているようにしか聞こえなかった。わたしが聴きたいのはこんな演奏ではない。次回に期待したい。
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